週刊スーパーカブを作ろう~エンジン編[1] ボアアップとハイカム
前回の記事にて紹介したスーパーカブのフレームに載せるエンジンを調達する。
元々このフレームは角目ヘッドライトのカスタムだったため、4速セル付きエンジンが載っていた。なので、それと同じクランクケースカバーの黒い4速のAA02Eを探したのだが、どういうわけか出てこない。AA01EからのマイナーチェンジというかたちでFI化されたため、AA04Eへのフルモデルチェンジまでの5年間程度の期間しか製造されていない型式のため極端に流通数が少ないのか、詳しいことは不明だが、あってもジャンク状態で同3速エンジンの2,3倍の価格なのだ。
ここに妥協してしまったことにまだ少し心残りがあるのだが、アップガレージライダースにて22,000円でジャンクのハーネス付き3速エンジンを購入してきた。
これを改修してフレームに載せる。改修の方針としては、ボアアップとそれに付随する改修を施して原二登録を目指す。普通/大型二輪免許を持っているため、原付一種のまま乗ることにメリットが無いからだ。二段階右折をしたくないのである。
ハーネスには電装部品で必要なものは全て揃っている。エンジン本体については動作未確認品とのことだが、ヘッドカバーからの軽微なオイル漏れとエンジン自体がひどく汚れていること以外は問題はなさそうだ。まあカブを手間暇掛けて綺麗に洗車して乗っている人は少数派だろう。
詳しく見てみると、ヘッドカバーガスケットとクラッチ側クランクケースカバーに液状ガスケットが塗られており、少なくとも一度開けたことがわかる。
ヘッド側については、経年劣化でひび割れたガスケットを補修するために液ガスを塗ったものと思われる。これについては要交換だ。
AA02Eに使えるボアアップキットは意外と少ない。私はクリッピングポイント製88ccキットを選んだ。ヘッドそのままボアが52mmになる。燃焼室容量が変わらないため、ピストントップが凹んでいるが、スキッシュエリアが元よりさらに大きくなる構造だ。これが燃焼効率や出力特性にどう影響するのかは知らない。
シリンダブロックを外す前にシリンダブロックについている油温センサを緩めておくべきだった。
外したヘッドには同じくクリッピングポイント製のハイカムを組む。
ここで意外だったのだが、ローラーロッカーアームが採用されている点である。
AA02Eというエンジンは、AA04Eまでの繋ぎで短期間のみ製造されていたとは思えないほどコストがかかっているような印象を受ける。
確か腰上のスタッドボルトの位置もAA01Eと違ったはずだ。また、ニュートラルスイッチの形状も異なる。AA02Eのために腰上のみならず、腰下の金型にも大きく改修が加えられているのだ。
カムシャフト交換と併せてタペット調整も行う。ググったところ、個人のHPでIN 0.10±0.02mm、EX 0.12±0.02mmという情報が見つかったのでこれを信じてみる。
バルブ擦り合せもできればしたかったが、そこまで手間とを掛ける気が起きなかったので今回は見送り。
ボアアップキットにガスケット類は付属していたが、ノックピンは付属していなかったため、分解時にプライヤーで掴んで潰してしまったノックピン(90701-GF6-000)とヘッドカバーガスケット(12391-GBJ-M30)を追加で発注した。
ヘッド周りとヘッドカバーにこってりとついている液ガスを剥がして組付けて完成だ。
締結トルクはボルトの径から決まる標準トルクと、ググって出てきた情報に従った。信憑性は知らないが、多分大丈夫だろう。
カムチェーンテンショナを戻し、フライホイールカバーのキャップを開けてクランクを回してみた感じでは特に問題はなさそうだ。
シリンダブロックにはオイルクーラ用の配管を取り付けられるようになっているが、とりあえずオイルクーラを付ける予定は無いので付属部品でバイパスしておく。
排気量が増え、ハイカムにより吸気量が増えたところで今度は燃料が足りなくなる。
吸気系については次回。