キャブセッティング

本記事ではグース350に搭載した中華FCRのキャブセッティングについて記述する。

セッティングの方針として、「できる限り省力で、街乗りで不自由しないレベルを目指す」を念頭に置く。季節によって変動するセッティングで完璧を突き詰めればキリが無いためだ。

中華FCRとパワフィルについては以下記事を参照して頂きたい。


ux-02-93.hatenablog.com

重要な注意事項として、中華FCRに本家京浜FCRのセッティングをそのまま適用することはできない。(ジェット類に互換性があるとはいえ)

 

現時点のセッティング

結論だけ見たい方のために、現時点のセッティングを載せておく。

 

関東平野の標高。4月。

中華FCR37

MJ145(プラグ焼け色からしてやや濃いめ。当時はこの下の番手を持っていなかった)

SJ48

PS1+7/8戻し

ニードル上から4段目

加速ポンプ吐出量1/3

 

同、8月

MJ140

PS1+3/8戻し

 

中華FCR35

SJ48,MJ110

PS1.5戻し

ニードル一番上

加速ポンプ吐出量1/3

セッティング条件としては、時期は8月時点で気温30℃程度、関東平野の標高。

今後気温が下がることも考慮して全体的にほんのりリッチ気味である。

 

 

セッティングの経緯

 

グースの排気量では適正ベンチュリ径は37~38mm程度であるが、街乗り実用域での流速が欲しかったので中華FCR35を選定した。 (後に不足を感じて37に載せ替えることになる) 

ux-02-93.hatenablog.com

まず、中華FCR35を購入して開封した時点では標準で付いているSJ#48,MJ#110に加えて交換用の番手違いのジェットがいくつか付属していた。

ニードルは7段あるうちの真ん中の位置、油面を9mmに合わせ、MAJは#170のまま触らず、AJは1.5回転戻しとする。

とりあえず濃い方から合わせていくため、MJを#130とし、PS1.5戻しで実走してみるも、スロットル開度1/4程度より上がゴボゴボで全く使い物にならない。ニードルから上が濃いと判断してニードルとMJを調整していき、結局MJは最初の#110に落ち着いた。

しかし、ニードルが一番上でもまだ濃いようで合わない。MJの燃調は出ているため、スロットル開度はパーシャルか全開付近でしか走行できない。そこで加速ポンプの吐出量を疑うに至った。

加速ポンプとは、スロットルに機械的に連動し、スロットル操作に合わせて燃料の噴射量を増量する装置である。冷間始動時の増量にも使える。

調べてみると、そもそも多気筒を前提に開発されたFCRは4気筒分に1基の加速ポンプで噴くことが前提になっているようだ。そりゃ多いわ。

f:id:UX-02-93:20201003175220j:plain

加速ポンプのダイヤフラム

加速ポンプは構造自体は簡単なもので、スロットル操作に合わせてダイヤフラムが押されてガソリンを噴く構造である。このダイヤフラムの動作を制限することで噴射量を制御できる。あるいは、ダイヤフラムを押すロッド自体を抜くことで加速ポンプを無効化できる。

f:id:UX-02-93:20201003175520j:plain

噴射量制限

手芸店などで売っているスナップボタン、M6のナットなどを詰めて噴射量を制限することにした。それぞれ、ダイヤフラムを押すロッドのストロークを2/3、1/3に制限できる。

最終的にはM6ナットの噴射量1/3(約0.3cc)で落ち着いた。

その後、ニードルもセッティングし直したが結局一番上で落ち着いた。

以上より辿り着いたセッティングが、先述したものである。多少ラフなスロットルの開け閉めをしても燃調が濃くならず、10000rpmまで淀みなく回る。街乗りからワインディングまで広く楽しめるセッティングを出すことができたと思う。

 

 

2020年12月追記

やっぱり物足りなかったので中華FCR37に載せ替えた。

f:id:UX-02-93:20210119143348j:plain

中華FCR37

とりあえずジェットとニードルは吊るしのまま、加速ポンプのダイヤフラムだけ上記の方法で吐出量を絞って載せてみる。

突き抜けるような吹け上がりだけでなく、2000~2500rpmで低速巡航できるトルクがある。素晴らしい。最初からこれにしておけばよかった。

よく回ることにはよく回るがどうも8500rpmあたりでレブリミッタに当たったように頭打ちになる。MJが濃いのだ。

 MJを5番単位で下げていくが、買った時に付属しているMJの中で最も薄い155でもやはり濃い。手持ちであった150に変えてもまだ濃い。やはり中華FCRはMJの番手が低く出るようだ。

感覚的にあと1段くらい下げれば良さそうだが、手持ちの番手でその下は140なので、その間の番手をいくつかNAPSで購入した。145を入れてみるといい感じだ。きちんと10000rpmでレブリミッタに当たるまで回る。当たりだ。

省力セッティングポリシーに基づき、これ以上セッティングを突き詰めるのはやめておく。

めでたしめでたし